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【後編】――KDDI子会社の不祥事から学ぶ――2,400億円の蜃気楼。商流の複雑化と「数字への執着」がもたらした崩壊の軌跡

はじめに

前編では、閉鎖的な組織文化がもたらすリスクについて述べました。後編では、調査報告書の50ページ以降に詳述されている「本件架空循環取引に係る事実経過」を深掘りし、IT業界特有の「商流の複雑さ」がいかにして不正の隠れ蓑となったのか、そして爆発的に膨れ上がった売上動向の裏側を分析します。

これはshormaにとっても、経営の健全性を維持するための重要な反面教師となります。

1. 複雑な商流:なぜ「循環」に気づけなかったのか

報告書によると、今回の不正は、ジー・プランから始まり、複数の広告代理店を経由して、最終的に再びジー・プランやビッグローブに戻ってくるという「環状」の取引構造を持っていました。

IT業界、特にシステム開発や広告運用の現場では、複数の企業が間に入る多重構造が日常的です。不正の中心人物は、この「業界の当たり前」を悪用しました。中間に介在する会社は、手数料(マージン)を抜くだけで、実際には何の役務も提供していませんでした。それでも商流が成立してしまったのは、ITサービスの「成果や実体が見えにくい」という特性があったからです。

shormaでもパートナー企業様には常にご協力いただいています。もし、私たちがこの商流の中身を理解せず、ただ「依頼された現場に人を出すだけ」の経営に終始してしまえば、いつの間にか不適切な取引の一部に組み込まれてしまうリスクすら否定できません。

しかし、このリスク管理(守り)を徹底することは、同時に強力な「攻め」の武器にもなります。多重商流が敬遠され始めた今、商流をシンプルに保ち、エンジニアの稼働実態を常に可視化できる私たちの体制は、顧客にとっての「究極の安心材料」です。この圧倒的なクリーンさを武器に、大手企業が安心して直取引を選べるパートナーとしての地位を確立し、市場での競争優位性を築いていきます。

2. 売上の急拡大と「執着」の罠

報告書50ページ以降の事実経過を見ると、2018年に始まった不正取引は、年を追うごとにその額を指数関数的に増やしています。最終的には、単月で数百億円規模の架空取引が回される異常事態となっていました。

なぜ、誰もこの異常な増収を止められなかったのか。そこには「数字への執着」があったと推察されます。右肩上がりの売上は、経営者にとって甘い誘惑です。仏教の教えの一つに「執着するなかれ」がありますが、これはまさに、目先の利益や数字に目を奪われ、その中身を直視しなくなることへの戒めでもあります。

ビッグローブのケースでは、予算達成という「目標への執着」が、現場の不自然な動きに対する監査機能を麻痺させてしまいました。「順調に売上が上がっているのだから、わざわざ水を差す必要はない」という心理が、組織全体を支配してしまったのではないかと考えさせられます。

3. shormaの現状と福利厚生

shormaの昨年売上は約2億強で、社員15名という規模です。

会社である以上、数字を追っていくことは重要ですが、それは会社基盤を支えてくれている社員たちの生活が成り立ってこそです。2025年1月から開始した「はぐくみ年金」のように、社員一人ひとりの将来の生活や、地に足のついた福利厚生を充実させることにリソースを割いています。

調査報告書の50ページ以降には、不正に関与した社員が「数字を上げている」として社内で高い評価を得ていたという皮肉な事実も記されています。しかし、その「評価」は砂上の楼閣でした。私たちは、数字だけを作る職人ではなく、人間としての信頼をベースに現場で実直に頑張る「人材」を評価したいと考えています。

この「人間力への投資」は、単なる福利厚生ではありません。社員が心身ともに自律し、誠実に現場を守る。その「誠実さ」こそが、AIには真似できない、顧客からのリピート率や紹介を生む最大の営業力(攻め)になると確信しているからです。信頼できるエンジニア集団であること。それが、広告宣伝費に頼らない、私たちの最も力強い持続的な成長戦略です。

4.多角的な視点での透明性

現在、shormaではWebマーケティング事業も展開しています。広告運用の世界は、ビッグローブの事案が示す通り、「数字の偽造」や実体のない取引が起きやすい領域でもあります。

だからこそ、今後は技術者をWebマーケティングのプロジェクトにジョイントさせ、エンジニアリングの視点からデータの正当性をチェックするなど、相互に目を行き届かせる体制を狙っています。特定のプロフェッショナルだけに頼り切るのではなく、技術者がマーケティングの現場を知ることで、ビジネス全体の透明性を高めていきます。

これは単なるチェック機能(守り)に留まりません。マーケティングに「エンジニアの論理性」を掛け合わせることで、嘘のない、真に高精度なマーケティング支援という新モデルを提案していきます。不透明な業界慣習を技術の力で打破し、お客様に「根拠ある成果」を届ける。この攻めの姿勢で、Webマーケティング業界における新たな標準を作っていきます。

後編のまとめ:数字の背後にある「実体」と「信頼」を問い続ける

今回の調査報告書が示した事実は、IT業界に身を置く人への重い警告でもあると思います。巨額の架空取引が長年放置された背景には、複雑化した商流と、実体を伴わない数字への過度な執着がありました。

shormaでは、以下の以下の点を常に意識しながら経営しています。

  • 商流を複雑にしすぎず、実体を把握する。
  • 一人の人間に権限を集中させず、チームで共有する。
  • 数字の裏にある「人間としての誠実さ」を常に問い続ける。
  • SES事業とWebマーケティング事業が連携し、相互にプロフェッショナルの視点でチェック機能を働かせる。

「執着するなかれ」という言葉通り、私たちは過去の成功体験や目先の数字に縛られることはありません。大切なのは、変化し続けるIT環境の中で、いかに「人間としての誠実さ」を持ち、お客様と社員双方に価値を提供し続けられるかです。

閉鎖的なブラックボックスを排除し、常に開かれた組織であること。それが、結果として不祥事を防ぎ、強固な信頼関係を築く唯一の道であると確信しています。shormaはこれからも、技術と誠実さを武器に、一歩ずつ着実に成長を続けてまいります。


執筆:MZK

参考資料:KDDI株式会社「当社連結子会社における不適切な取引の疑いに関する特別調査委員会の調査報告書の受領及び今後の当社の対応について」(2026年3月31日発表)

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